後遺障害逸失利益の計算方法とは?
後遺障害逸失利益の計算方法とは?
Q後遺障害逸失利益とは?
A
後遺障害逸失利益とは,不法行為がなければ,得られたはずの利益をいいます。
交通事故被害に遭われた方の中には,事故による障害が将来に渡っても残ってしまう方も数多くいらっしゃいます。
このような将来にわたっても残存してしまう障害を後遺障害といいます。
自動車事故における後遺障害の有無は,第1次的には,損害保険料率算出機構という機関が認定するのであり,主治医が判断するものではありません。
後遺障害等級認定の申請をする際には,主治医の先生に後遺障害診断書を記載していただく必要がありますが,後遺障害診断書を記載してもらったからといって,必ずしも後遺障害が認定されるものでないことには注意が必要です。
損害保険料率算出機構で後遺障害が認定された場合や損害保険料率算出機構で後遺障害が認定されなくとも別途裁判所で後遺障害が認定された場合は,通常,逸失利益が発生します。
Q具体的な計算方法とは?
A
逸失利益は,将来得られたはずの利益をいうため,その性質上,将来の予測を含みます。
それゆえ,ある程度の擬制に基づいて算定せざるを得ません。
そこで,法的には,逸失利益を「基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」として計算します。
基礎収入は,給与所得者の場合,原則として,事故前の収入を基礎として算出されます。
労働能力喪失率は,原則として,後遺障害の等級に応じて決められています。
例えば,後遺障害等級認定第14級であれば,労働能力喪失率は5%となります。
労働能力喪失期間は,原則として,症状固定時の年齢から67歳までの期間をいいますが,後遺障害等級14級9号の場合は,5年間程度に制限されることが通常です。
もっとも,先に述べたように,逸失利益は,将来の予測を含むため,逸失利益の有無および程度をめぐって争いとなることは少なくないです。
主張・立証内容によっては,逸失利益に対する賠償額が原則よりも高く認められる場合もありますし,低く認められてしまう場合もあります。